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N-mode X-CD3 試聴記


X-CD3

N-modeブランドを展開されている㈱リリックの小林さんより、新製品のハーフサイズCDプレーヤー X-CD3のデモ機をお借りしました。
ハーフサイズということでどのくらい小さいかというと、幅が210㎜、奥行が250㎜、高さが71㎜というミニコンポサイズです。電源部は本体の中には入らないため、ACアダプターが付属しています。このハーフサイズのラインナップには、1ビットアンプをはじめ、マスタークロックジェネレーターやD/Aコンバーター、そしてハーフサイズコンポ4台に供給できるアナログ強化電源までラインナップしています。ちなみにこのシリーズは幅210㎜、奥行250㎜、高さ62㎜で統一されていますが、CDプレーヤーだけは71㎜と少し高くなっています。ローディングメカがトレイ式のため、これ以上低くすることができなかったのだと思います。

SHARP SM-SX100

N-modeというメーカーは、その源流をたどっていくと、その昔SHARPが開発した1ビット・デジタルアンプにたどり着きます。
今から30年ほど前にシャープ内に1ビットオーディオプロジェクトチームが発足して、その中心人物が布村常夫氏でした。その後SM-SX100デジタルアンプを世に送り出し、注目を浴びました。当時、東京の某販売店にいた私はこのアンプのデザインはよく覚えています。薄型で四隅に鋭角なスパイクを配置した近未来的なアンプでした。当時としてはかなりブッ飛んだデザインでしたが、良質なパーツをつぎ込んで当時で100万円と価格でもブッ飛んでいましたが、音の印象はあまり記憶にありません。その後2006年にシャープがピュアオーディオから撤退すると、その2年後に布村氏が定年退職となります。しかし1ビットアンプへの思いは捨てきれず、地元の九州にて2008年に㈱リリックを創業してN-modeブランドを立ち上げました。
N-modeというブランドは知ってはいましたが、それが1ビットアンプを生産している会社とははなはだ勉強不足ながら、しばらく前まで知りませんでした。昨年夏に小林さんがデモ機を持って当店にお越しいただいて、実際に音を聴かせていただき、認識を新たにした次第です。この時に聴かせていただいたのはフルコンポサイズのX-PM7MK
Ⅱ(300,000円)とハーフサイズのX-PM3(130,000円)でした。その時の印象に残ったのは小さいほうのX-PM3でした。サイズが小さいので価格はちょっと割高に感じましたが、今の時代、オーディオ装置にそんなにスぺースは取れないだろうし、CDプレーヤーやパワーアンプ、マスタークロック、そして強化電源まで同サイズで揃うとなると面白いかなと思いました。

X-PM3 FT

その後、鈴木 哲さんが主宰するファンダメンタルとのコラボした200台限定生産のX-PM3 FT(168,000円)で音質は飛躍的にアップしました。価格も38,000円アップしましたが、スピード感や音場感などに価格以上のクオリティアップが図られており、かなり好評なようです。
そして昨年の12月には鈴木氏と業務提携をして、サウンドマネージャーとして全製品に関わっていくとの発表がありました。このニュースはN-modeにとって大変な追い風になる出来事だと思います。

この鈴木 哲さんはその昔NECでA10という伝説的プリメインアンプの後期モデルに関わり、その後PHILIPSでLHHシリーズを手掛け、marantz PROでアンプを開発し、SOULNOTEブランドを立ち上げて、現在はFundamentalを主宰しています。しかもオーディオエンジニアの一方で、プロのギタリストとしても活躍中というスゴイ方です。

X-CL3

今回お借りしたX-CD3も鈴木 哲さん監修のもと製作されたもので、俄然注目度は上がっています。しかもMQA-CD対応で168,000円と、対応機種としては一番ローコストなものとのことです。MQA-CDを再生すると、奥行感と広がりが増してハイレゾらしい世界が堪能できました。サイズが小さいので見た目はオモチャっぽいですが、なかなかクオリティは高そうです。ただフルコンポサイズの中にこれを組み込むのはちょっと無理がありそうで、やはり同サイズのプリメインアンプX-PM3(FT)、マスタークロックジェネレーターX-CL3(168,000円)、強化電源X-PS3(89,800円)あたりと組むとなかなか小粋なシステムになると思います。省スペースでクオリティの高い再生を目指す方にはうってつけの商品だなと思いました。
1ビットアンプはデジタルアンプですので、マスタークロックジェネレーターでサンプリング周波数を上げて同期させると、音がキメ細かくなってピントの合った写真のような世界が楽しめます。もちろんデジタル機器であるCDプレーヤーでも同じような変化があります。これと強化電源を加えることによって、更なる音質向上が可能です。同時に揃えるのはもちろんいいのですが、あとから一つずつ追加することによって、クオリティの進化がより実感できて趣味として長続きしますので、そういう楽しみ方もお勧めです。

これからオーディオを始めようという若い方には、従来のデカくて重くて高価なコンポはなかなか手を出しづらいと思います。そうした中でこういうコンパクトなシステムでありながら、一定レベル以上のクオリティを発揮してくれるN-modeハーフサイズシリーズは、もっと評価されていい商品だと思った今回の試聴でした。