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Mark Levinson 5000番シリーズ 試聴記


7月12日(月)から 1週間はマーク・レビンソンのイベントのため、5000番シリーズのデジタルプレーヤー(No5101)、アナログプレーヤー(No5105)、プリアンプ(No5206)、パワーアンプ(No5302)の4機種と、JBLのミドルクラスモニタースピーカー4349をお借りして店内で鳴らしていました。

マーク・レビンソンといえば、アメリカが誇るハイエンドブランドで、創業者でレコーディングエンジニアのマーク・レビンソン氏が自分のレコーディングシステムのプレイバック用に開発したLNP-2で一躍脚光を浴びました。1973年当時、これほどまでにクオリティの高いプリアンプは世の中に存在しておらず、マーク・レビンソンの名前は一躍世界中に知れ渡りました。このLNP-2によってハイエンドオーディオというジャンルが確立したといっても過言ではないほど、大きな影響を与えた製品でした。
その後創設者のマーク・レビンソン氏は1984年にマークレビンソン・オーディオ・システムズを離れ、チェロ・ミュージック&フィルム・システムズを立ち上げます。マークレビンソンブランドはマドリガル・オーディオ・ラボラトリーズに引き継がれて、その後ハーマンインターナショナルの傘下に入り現在に至ります。こうした変遷を経ながらもMark Levinsonというブランドはしっかりと受け継がれていることに驚きます。いかにLNP-2(L)の衝撃が大きかったかを感じられずにはいれません。

そのマーク・レビンソンから新しいラインナップの5000番シリーズがリリースされて、今年そのラインナップが完成いたしました。実は昨年リリースしたNo5805というプリメインアンプもラインナップにあるのですが、今回は新製品中心ということで今回は見送りになりました。
いずれの商品も価格は税別で100万円以内ということで、マーク・レビンソンブランドとしてはエントリークラスといえる位置付けです。またシリーズの共通のデザインとしてはブラックフェイスの中に、中央のガラスパネルディスプレイと丸いパワーインジケーターが特徴的です。

No5206

No.5206プリアンプとNo.5302パワーアンプは、両方共税別950,000円です。特にプリアンプはMC/MMフォノイコライザーとD/Aコンバーター内蔵の多機能プリです。MM/MCゲインとサブソニックフィルターはセットアップメニューから、また容量/抵抗の不可設定は背面のディップスイッチより変更可能です。DACは最新のESS「Sable 32bitDAC」を採用しており、デジタル入力はRCA、XLR(AES/EBU)、TOS、USBがあり、MQA対応と盛りだくさんです。USBはPCM(384kHz/32bit)DSD(11.2MHz/1bit)まで受けられます。しかもatpX-HD搭載のBluetoothレシーバーを搭載してスマホやタブレットに保存した音楽データをワイヤレス再生できます

No5302

No5302はディスクリート構成のダイレクトカップリング回路による、クラスABアンプモジュールを搭載して、135W+135W(8Ω)AB級出力のパワーアンプです。またブリッジ接続にすれば275W(8Ω)出力のモノラルパワーアンプに変貌します。電源部は1100VAのトロイダルトランスで、これはプリメインアンプのNo5805の2倍の容量とのことで、如何に強力な電源部かがわかります。その大容量の電源トランスのおかげで、重量は31.7㎏と高さが低い割にはずっしりときます。また伝統のフロントパネルハンドルも現代的なデザインに刷新されて復活しました。

No5101

デジタルプレーヤーのNo5101はスロットインメカを採用したSACD対応プレーヤーで、CD-R/CD-RWの再生も可能です。またネットワークプレーヤー機能も搭載しており、PCMは192kHz/24bitまで、DSDは5.6MHz/1bitまで対応しております。またDLNAおよびUPnPデバイスからストリーミングオーディオ(AIFF、OGG、MP3、AAC、WMAなど)を再生できます。DAC部は定評あるMark Levinson Precision LinkⅡDac回路を搭載しています。更にUSB-A端子も装備しており、デジタル音源を記録したUSBメモリーの再生ができます。これだけいろいろな音源をハイクオリティに再生出来て、税別600,000円はかなりお買い得だと思います。

No5105

No5105はマークレビンソン史上2番目のアナログプレーヤ―システムです。今回のプレーヤーは幅438mmとほかの5000番シリーズと同サイズでコンパクトなサイズですが、重量はめっちゃ重たいです!それもそのはず、シャーシは50㎜厚のアルミブロックから精密切削加工されています。それに裏面に共鳴吸収剤によるダンピング処理されたビーズブラスト処理された6.3kgターンテーブルプラッターを載せて、システム重量は34㎏になります。
ベースを支えるインシュレーターはラバーアイソレートされた切削加工の3個の足による3点支持構造となっております。トーンアームは10インチのカスタムメイドストレートアームで、グロスブラック仕上げのカーボンファイバー素材を使用しました。カートリッジレスは付属しておりませんが、デモ機にはOrtofonのMC-Quintet S Black(日本未発売/日本仕様はMC-Q30)が付いていました。どうやら本国ではこのカートリッジ付きで販売されているようです。


4349 + JS-360

今回試聴したスピーカーはJBLの30cmウーハー2ウェイモニタースピーカー4349です。このスピーカーは5年前にJBLが発表した38cmウーハー2ウェイモニタースピーカー4367がベースになっています。4367の最大の特徴は中高域のユニット1個で700Hzから40kHzまでカバーするD2デュアルドライバーユニット(D2430K)に集約できると思います。このユニットは2つのダイアフラムとボイスコイルを持つユニットで、中域と高域をうまくつなげた超ワイドレンジコンプレッションドライバーになります。このユニットに接続するホーンはHDI(High Definition Imaging)-Xウェーブホーンで、指向性をうまくコントロールしています。

この4367のダウンサイジングモデルが今回の4349です。30㎝ウーハーとD2ドライバーD2430Kの小型版のD2415Kユニットを採用した2ウェイモデルです。ホーンはHDI-Xホーンで、さらに複雑なホーン形状になっています。ここでも中高域の伸びと切れ味は素晴らしいです。使い方のポイントとしてはセッティングを含めたウーハー領域のコントロールなのかなと思いました。今回のデモ機は短時間の使用が多いようで、まだエージングが十分にされていない状態で、ウーハーも本来の状態ではないと思いますが、やはりJBLはある程度パワーを入れて鳴らしたほうが本来のサウンドが楽しめると思います。

さて、この5000番シリーズの音ですが、廉価版ではあってもやはりレビンソンの音でした。
解像度が高く、粒立ちの良い、すっきりした音でした。現代のハイエンドオーディオの王道を行くような洗練されたサウンドという印象です。JBL 4349との相性は悪くはないとは思いましたが、No5206/No5302のポテンシャルを確かめるためにB&W 803D3につないで鳴らしてみました。これが相性バッチリでしたね。透明感とか奥行き感が素晴らしく、立体的なサウンドステージが再現されました。改めてこのアンプのクオリティの高さを実感いたしました。そして同時にスピーカーに対するドライブ能力の高さも感じることができました。こうなるとNo5302のモノラル駆動を試したくなってしまいました。きっと素晴らしい世界が再現されることは間違いありませんね。