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TANNOY LEGACYシリーズ CHEVIOT/EATON 試聴記


ここ何日かTANNOYの新ラインナップ、LEGACYシリーズのCHEVIOTとEATONの試聴をしています。

LEGACYシリーズはもう一つARDENがあり、これは過去に人気を博したモデルであり、中古市場でも高値で取引されていますが、CHEVIOTとEATONはARDENやBERKELEY、DEVONと共にHPDシリーズのユニットを使用した一連のスピーカーシステムとして存在していました。ちなみにHPDはハイパフォーマンスデュアルコンセントリックの略です。
このHPDシリーズのユニットは、1974年にタンノイ社のコーン紙工場が火事になり、ドイツのクルトミューラー社からコーン紙の供給を受けておりました。薄型軽量のコーン紙のため、裏側に8本の補強リブを取り付けたりと独自の工夫をされておりました。
このころのタンノイ社は、創設者ガイ・R・ファウンテン氏の健康問題や、アメリカのハーマンインターナショナルの傘下に入ったりと苦難の時代でありましたが、その時代を支えたのがこのHPDユニットといわれております。

そうした一時代を築いたARDEN/CHEVIOT/EATONが、当時のデザインそのままに最新のテクノロジーをまとって現代によみがえりました。かつて英国王立デザイナー協会ジャック・ハウ氏が手がけたデザインを忠実に再現して、スコットランドで熟練の職人チームがハンドメイドで作っているとのことで、ARDENが1本60万円、CHEVIOTが1本50万円、EATONが1本40万円と価格的にはちょっと高めになっている感があります。
使用しているスピーカーユニットは、見た目PRESTIGEシリーズと同じようですが、すべて独自に開発したLEGACYシリーズ専用ユニットとのことです。このLEGACYシリーズの開発担当者はまずオリジナルモデルを繰り返し試聴してそのサウンドの詳細を十分把握して、その上でオリジナルモデルと最新テクノロジーの融合を目指しました。
そうしたことを考えるとこの価格もある程度しょうがないかなとは思いますけど、サイズを考えると正直割高感はあるでしょうね。そういう意味ではサイズ感があって15インチ(38cm)ユニットを搭載したARDENが一番割安感があります。事実販売数量はARDENが一番多いそうです。

試聴してみると、エネルギーバランスは中低域寄りであり、音楽がゆったりと流れます。PRESTIGEシリーズとは異なり昔のHPDシリーズの音調を踏襲しているようです。しかし全体に解像度が上がっているところはさすが現代のスピーカーです。こうしたサウンドからやはり音楽ジャンルはクラシック優先という感じが強いですね。それとCHEVIOTとEATONはサイズが小型ということもあって、本格的なセパレートアンプよりはプリメインアンプの方が相性がいいようです。強力なパワーアンプで鳴らすと低域がだぶついてサウンドバランスが崩れる感じがします。逆にローコストのプリメインアンプでも十分音楽が楽しめます。EATONは手頃なサイズ感もあってコンパクトなシステム構成が可能です。CHEVIOTはこのサイズで12インチ(30cm)ユニットを搭載しており、PRESTIGEシリーズのSTIRLINGやTURNBERRYよりも口径の大きいユニットを搭載していることが特徴です。エンクロージャーのサイズに最大口径のユニットを搭載して中低域の厚みを生み出しており、ルームサイズが広い場合はこちらの方が好ましい鳴り方をします。

多少の割高感はありますが、サイズ的にもコンパクトでデザインもシンプル、その上で大掛かりなアンプでなくてもスピーカーの個性でカバーしてくれる懐の深さを持っているCHEVIOTとEATONは、これからクラシック音楽を本格的に聴きたいという方には有力な選択肢の一つになり得るスピーカーだと思いました。