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Phasemation EA-350 試聴記


年明け早々、Phasemationの山神氏が年末に発売になったばかりのフォノイコライザーアンプ EA-350を貸していただき、試聴させていただきました。

価格は39万円。今やアナログレコード関連品はブームの真最中で、アナログプレーヤーはTechnicsのSP-10Rや今年発売になるYAMAHAのGT-5000など高級品が注目を浴びていますが、カートリッジやフォノイコライザーアンプだけにとどまらず、フォノケーブルやヘッドシェル、リードワイヤーなど細かい関連パーツもいろいろと出回っており、アナログをやっている方は興味津々といったところではないでしょうか。

当店もフォノイコライザーアンプはSOULNOTEのE-1(20万円)がありますが、このクラスだと一番人気の最強モデルだと思います。そこでほぼ倍のEA-350との比較試聴をしてみました。果たしてその結果は如何に・・・。

写真の上がSOULNOTE E-1で、下がPhasemastion EA-350です。
E-1は見るからに個性的なデザインですが、EA-350は対照的にオーソドックスな立たずまいです。オーソドックスな点は評価できるにしても、ちょっとそっけない印象で39万円という価格を考えればもう少し高級感がほしいと思うのは私だけでしょうか。

SOULNOTE E-1の音はエネルギッシュで若さを感じます。そして開放的な音がします。
そのサウンドの秘訣は、天板の鳴きを押さえないことと電源トランスをガチガチに固めないことにあるようです。特にトランスはケースにも入れてないし含浸もしていません。こうすることによって締め付けのない音が可能になるのだと設計者の加藤氏は言います。これは素晴らしいことなのですがその反作用としてトランスが唸りやすいということがあります。しかしこのメリットとデメリットを天秤にかけてでもメリットを追求するという「攻めた設計」がSOULNOTEの売りでもあります。なおトランスの唸りは各家庭の電源事情に大きく左右されますので、必ず出るというものではありません。

EA-350はフォノバランス伝送に対応したMCトランスを搭載したのが一番の売りで、クラス初だそうです。このMCトランスもT-2000MCトランスで培ったノウハウを注入したことでクオリティアップを図っているとのこと。フォノ入力も3系統あり、そのうち2系統はバランス入力対応です。そういう意味でもフォノバランスケーブルを使ったほうがいいと思うのですが、出力にアンバランス端子(RCA)しかありません。これはどうしてなのかメーカーに聞いてみたところ、バランス回路にすると回路規模も倍になるしパーツも増えることによるロスも懸案した上で、なるべくシンプルに伝送することを優先してクオリティアップを狙っていくという道を選択したとのことでした。
さてその音質は一言でいうと「重厚な音」でした。特に低域の安定感は魅力的です。CDをはじめとするデジタルメディアの腰高な印象と真逆でした。どっしりとした落ち着きのある、いかにも高級品というような「品格のある音」でしたね。外観のシンプルさもあって「質実剛健」という表現がぴったりなのかも知れません。

フォノイコライザーアンプは、カートリッジ(特にMCカートリッジ)からの微細な信号を受けてラインレベルに増幅するという非常に繊細な作業をするため、設計思想や回路設計、パーツの選定等で大きく音質が変わる機器です。レコードに入っている音をどこまで、どのような音色で引き出せるかはカートリッジとフォノイコライザーアンプにかかっているといっても過言ではありません。その面白さを改めて認識した今回の試聴でした。