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Accuphase C-2150&P-4500 試聴記


 アキュフェーズがセパレートアンプの新製品、C-2150とP-4500のデモ機を貸していただきましたので、ここしばらく聴いております。

 C-2150は前作のC-2120から5年ぶりのブラッシュアップモデルで、価格は3万円アップの50万円となっております。今回、AAVAボリウムコントロールに、歪とノイズを打ち消す回路ANCC(Accuphase Noise and distortion Cancelling Circuit)を初搭載してS/N比を向上しています。今後この回路が全てのAAVAボリウムに搭載されていくことになるのだろうと思います。その他のフューチャーはコスト面から規模は小さくなっていますが、左右独立構成ユニットアンプや左右独立電源トランス等、上位プリアンプの構成を受け継いでおり、アキュフェーズというメーカーの堅実さがうかがえます。

 P-4500は前作のP-4200から同じく5年ぶりの新製品で前作から6万円アップの55万円となりました。前作との違いは出力段が3パラレルプッシュプルから4パラレルプッシュプルになったことと、フィルターコンデンサーの容量アップ(47,000→50,000μF)、ダンピングファクターが500から700へアップ、トータルのS/N比が1dBアップといったところで、こちらも地道な改良が実を結んでかなりのブラッシュアップになっております。

 試聴はスピーカーに当店のリファレンスB&Wの803D3、CDプレーヤーにESOTERIC K-05Xsで行いました。803D3はペア270万円で、アキュフェーズはセット105万円なので正直キビシイかなと思いましたが、思いのほか良く鳴りました。特にクラシック系とヴォーカル系は低音の伸びや重厚感が感じられつつも、ほんわかした暖かみのあるウェルバランスのサウンドが楽しめました。逆にジャズ系は低域の量感が裏目に出るのか、低音のこもり感が気になってしまいました。当然ディスクの録音状況によって大きく変わるのですが、リスナーの音の好みによっても大きく評価が変わってしまいます。そこで電源ケーブルをアキュフェーズ純正の物からACOUSTIC REVIVEのPOWER REFERENCE Triple-C(輸出専用モデル)に変えてみたところ、低音のこもりはみごとに解消しました。

 これがオーディオの摩訶不思議なところで、ちょっとしたことで再生音が変わります。問題はその変化が自分にとって好ましいと思えるかどうかです。自分の好みの方向を知っておくことが大切です。好みを知るといってもそんなに難しいことではありません。自分の感覚に素直に従うだけです。料理の味付けの好みと同じ感覚です。

 話がそれましたが、803D3は非常にクオリティの高いスピーカーですが、それほど気難しさはないのかも知れません。以前marantzのプリメインアンプPM-10を接続したときも過不足なく鳴っておりました。ただしスピーカーのセッティングには恐ろしく敏感です。スピーカーとリスナーの距離やサイド及び後方のスペースの作り方など、左右のスピーカーの位置関係が少しでもズレるとピントがぼやけます。こうした基本セッティングをきちんとやっておけば、このスピーカーの個性でうまく鳴ってしまう部分が多いような気がします。

 そして最後に、当店のリファレンスアンプのC-3850とA-75の組み合わせとの比較をしました。C-2150/P-4500が105万円、C-3850/A-75が300万円と3倍の価格差があるので、当然同じクオリティであるはずはありません。結果としてはクオリティの違いは歴然とありますが、音作りのベクトルというか方向性は同じだなあと思いました。違いはディティールの表現の緻密さと解像度の高さ、そして空間表現の巧みさだと思います。この部分はやはりどうしても価格差は出てしまうものなのでしょう。それでも一般に家庭で使われるスピーカーであればC-2150/P-4500の組み合わせでそう不足感はないと思います。プリメインアンプとは一味違った重心の低い安定感のあるサウンドが楽しめます。

 一般家庭でアンプに300万円、スピーカーに300万円をかけられる方はそう多くはないと思いますが、使うスピーカーによりますが、一度セパレートアンプの世界を経験してしまうと音楽の奥深さを改めて知ることになります。最近はオーディオの世界も高級化が進んで庶民には程遠い世界になりつつありますが、音楽再生は魅力的で高尚な趣味ですので少しずつでもステップアップをして、長く楽しんでいただけけると確信しております。そしてセパレートアンプの世界までたどり着ければ、今までに経験したことのない桃源郷の世界が楽しめるはずです。