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日本音響エンジニアリング ANKH Ⅵ 試聴記


お客様の試聴希望もあって、日本音響エンジニアリングのAcoustic Grove System(AGS)で唯一の床置きタイプであるANKH Ⅵをお借りしました。
ANKH Ⅵはサイズが2種類あって、今回お借りしたのは小さいほうのFL-66という60㎝四方のタイプです。価格は1台18万円とお安くはありませんが、これを敷くのと敷かないのでは相当の差が出ます。ちなみに大きいほうはFL-99という90㎝四方で、価格は1台28万円です。当店にはSILVANというAGSの主要技術をコンパクトにまとめたモデルを展示しております。1台20万円でスピーカーの後ろやサイド、あるいはリスニングポイントの後ろなど様々な場所に置いて効果を発揮する優れものです。

こうしたアコースティックパネルは一昔前ならアメリカのQRDが一番人気でしたが、拡散や吸音のパネルの組み合わせで構成していくため、ある程度の知識と経験が必要です。その点AGSのSILVANやANKHは拡散を中心にしながら単体でうまくバランスが取れる設計になっています。AGSが目指したのは森林の音響空間でした。森林の音のこもりのないヌケの良い空間を限られたスペースで再現するために、ポールの配置を入念にシュミレーションして最適化することに成功しました。そのパターンは基本的に一種類で、部屋のサイズや高さによって製品の幅や高さを選ぶことになります。今はそのバリエーションも増えて天井用、天井コーナー用などもラインナップしており、そのバリエーションの一つとして床置き用が開発されました。

スピーカーの後ろやサイドに置くタイプのものも相当効果がありますが、スピーカー前面の床はこれを置くと激変します。それだけスピーカーからの反射を受けているということなのだと思います。まず音の抜けが良く鳴ります。それと各楽器の輪郭がはっきりして、ヴォーカルの口元は目に見えるようです。ピシッとピントの合った写真のような世界が見えてきます。
音の粒立ちが良く、音楽トータルとして説得力のあるリアリティあふれるサウンドが楽しめます。床面がフローリングなのかカーペットなのかによって変わりますが、当店の床はカーペットですのでその状況での話ですが、低域がスッキリして力強さが増した感じがします。多分フローリングの場合は床からの反射が強いので、これがうまく拡散してナチュラルな音場を作ってくれると思います。

ちょうど同じタイミングでMONITOR AUDIOの新製品STUDIO(1ペア22万円)のデモ機が入荷してきましたので、このスピーカーでも比較をしました。このスピーカーの試聴記は後日載せますが、10cmウーハーのバーチカルツイン方式でサイズもコンパクトですが、非常にバランスのいいサウンドで、よく出来たスピーカーだと思いました。こんな小さなスピーカーでもANKH Ⅵは絶大な効果を発揮しました。(価格的には不釣り合いですが・・・)

ANKH Ⅵは基本的にスピーカーの前面に置くため2枚必要ですが、スピーカーの間に1枚置いたらどうなるだろうと実験してみました。
予想通り、真ん中に1枚でも効果はありました。響きとか空気感はかなり変わります。でもやはり2枚のほうが激変しますね。これも決して安いものではありませんので、とりあえず一枚導入して、頃合いを見てもう一枚を追加するという形もありだと思います。
もし1枚で完結させたい場合はサイズの大きいFL-99をお勧めいたします。

もう一つポイントは、これを置くのであればリスナーとスピーカーの間は何も置かないのが理想であるということです。リスニングポイントの前にラックを組んでいる場合はスピーカーとラックまでの距離をなるべく開けるようにしたほうが良いでしょう。当店も写真の通りスペースがないので、機材を乗せたラックはなるべくリスナーに近い位置までずらしました。このラックをサイドにずらせばより正確な音場が現れると思います。

私の経験でいけば、スピーカーの後方に置くSILVANよりもこのANKH Ⅵのほうがダイレクトに効き目があると思います。やはり一般のリスニングルームでスピーカーの手前の空間はそれなりに広いと思いますので、ここの対策は非常に効果があるということを再認識した今回の試聴でした。

最後にこれは私の個人的な要望ですが、この製品が絶大な効果があることはわかりましたが、一般家庭のリスニング環境ではまだサイズが大きいので、これより一回り小さい40㎝四方の物(FL-44?)を出してもらえると一般家庭にもっと普及すると思います。以前に担当の方にちょっと話した時には効果が小さいとのことでしたが、「床置きアンクミニ」というスタンスで開発をしていただければ非常に面白いと思うのですが、日本音響さん、どうでしょうかね・・・?